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Spotifyデータ分析レポート:音楽トレンドの進化と多様化

15 1 月, 2025 | by 51

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Spotifyの楽曲データについて分析を行った結果をご報告いたします。まず、全体的な傾向として、インストゥルメンタルの楽曲よりも、ボーカル入りの楽曲が依然として主流であるという傾向が見られました。また、楽曲のダンサビリティ(踊りやすさ)とエネルギー値の間には、概ね正の相関関係があることが示唆されました。

www.kaggle.com/datasets/maharshipandya/-spotify-tracks-dataset

具体的な分析として、まず楽曲の様々な特徴間の関連性を可視化するために、相関性のヒートマップを作成しました。

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関連性ヒートマップ

この図からは、各特徴がお互いにどの程度影響し合っているかを見て取ることができ、その結果は私たちが普段音楽に対して抱いている感覚と大きくかけ離れたものではありませんでした。しかし、長年の音楽の歴史を振り返ると、楽曲の人気を決定づける要因は非常に多岐にわたり、特定の音楽的特徴だけが突出して人気に直結するという単純な構造ではないことが改めて確認できました。

次に、楽曲の言語ごとの人気分布を分析したところ、韓国語の楽曲が、突出して高い人気を誇るわけではないものの、比較的安定した人気を得ているという興味深い結果が得られました。これは、近年のK-POPの世界的な広がりを反映しているのかもしれませんが、詳細な要因については更なる調査が必要であると考えられます。

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言語別の人気分布

さらに、楽曲がリリースされた時期とエネルギー値の関係性を調べたところ、時を経るにつれて、人気のある楽曲はよりエネルギッシュな傾向を強めていることが明らかになりました。これは、時代の流れとともに、人々が求める音楽の性質が変化していることを示唆している可能性があります。

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年を追うごとに、TOP10人気曲のテンポと人気度

そして、より詳細な時間軸での変化を捉えるため、楽曲データを5年ごとのグループに分け、それぞれの期間における楽曲の特徴を分析しました。1990年代の楽曲データが比較的少ないこと、そして年ごとの変化がそれほど大きくないことを考慮し、このような区切り方を採用しました。この分析によって、以前と比較して楽曲の多様性が増し、リズムや使用される楽器の面でも、より幅広いバリエーションが見られるようになったことが確認できました。特に、2015年から2019年の間には、エネルギーとダンサビリティが低い楽曲が目立つ傾向が見られたため、これらの楽曲群についてさらに掘り下げて分析を行いました。その結果、この時期に多く見られた低エネルギー・低ダンサビリティの楽曲には、映画やドラマのサウンドトラックといった映像作品の音楽が数多く含まれていることが分かりました。

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2015–2019年と2020–2024年におけるダンスのしやすさと人気度の比較

以前は、これらの音楽は主にCDや映像作品の付録として、あるいは特定のファン層の間で聴かれることが多かったのですが、ストリーミングサービスの普及により、より多くの人々がこれらのサウンドトラックに触れる機会が増え、結果としてデータに反映されるようになったと考えられます。加えて、ローファイ・ヒップホップのようなジャンルの人気や、YouTubeにおける「Study with Me」といった動画コンテンツの流行も、学習やリラックスを目的とした、エネルギーやダンサビリティの低い音楽への需要を高め、この傾向を後押しした可能性が考えられます。

これらの分析を通じて、音楽の特徴が時代とともに変化している様子を様々な角度から捉えることができました。特に、ストリーミングサービスの普及が、これまで注目されてこなかった音楽ジャンルや聴き方に光を当て、楽曲データの構成に影響を与えている可能性が示唆されました。今後も、このような多角的な視点から音楽データの分析を継続することで、音楽のトレンドや人々の音楽に対する嗜好の変化をより深く理解することができると考えています。